Pharma-Ad Report
Pharma-Ad LabReport広告可能事項
広告可能事項 2026.09.19 監修:まさ(薬剤師・薬機法管理者) クリニック代理店・制作

「○○専門医」の4文字だけでは書けません。団体名まで必要です

クリニックのサイトでよく見る「○○専門医」という表記は、それだけだと誇大広告として指導の対象になります。「厚生労働省認定」を足すと、今度は虚偽広告で罰則の側に移ります。一方で、広告では書けない認定医・指導医が、ウェブサイトでなら書ける道も用意されています。

医師の紹介ページに「循環器専門医」とだけ書く。

この4文字だけの表記は、誇大広告として指導の対象になります。

書ける形は決まっている

医療広告等ガイドラインは、専門性の資格を広告するときの形をこう指定しています。

実際の広告の形態は、主に次に示すようなものを想定しており、専門性の認定を行った団体を明記すること。

そのうえで具体例を4つ挙げています。「医師○○○○(日本専門医機構認定○○専門医)」「歯科医師○○○○(日本歯科専門医機構認定○○専門歯科医)」「医師○○○○(○○学会認定○○専門医)」「歯科医師○○○○(○○学会認定○○専門歯科医)」。

4つとも、資格名の前に誰が認定したかが入っています。ここが落ちている表記が、冒頭の4文字です。

書ける資格の範囲も決まっています。日本専門医機構または日本歯科専門医機構が認定する、基本的な診療領域に係るもの。医師は内科、小児科、皮膚科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科、放射線科、麻酔科、病理、臨床検査、救急科、形成外科、リハビリテーション科、総合診療の19領域。歯科医師は口腔外科、歯周病、歯科麻酔、小児歯科、歯科放射線、補綴歯科、矯正歯科、歯科保存の8領域です。

これに加えて、令和3年10月1日の広告告示改正前に厚生労働大臣へ届け出た団体の資格(医師 58 団体 56 資格、歯科医師5団体5資格)が、当分の間そのまま広告できます。

「厚生労働省認定」を足すと、虚偽の箱に移る

同じガイドラインは、書き方の誤りを2つに切り分けています。

専門性の資格は、専門医機構、各関係学術団体が認定するものであるので、例えば、「厚生労働省認定○○専門医」等は虚偽広告として取り扱い、単に「○○専門医」との表記も誤解を与えるものとして、誇大広告に該当するものとして指導等を行うこと。

「厚生労働省認定」は虚偽広告です。専門医の資格認定は学会と専門医機構が行うもので、厚生労働省が認可した資格ではないからです。虚偽広告は直接罰の対象で、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金(医療法第87条第1号)の射程に入ります。

一方、単に「○○専門医」と書くのは誇大広告で、こちらは指導の側です。同じ1つの表記の誤りでも、足した言葉が「厚生労働省」かどうかで扱いが変わります。この2つを混ぜないほうがいいです。

同じ「学会認定」でも、団体の中身で割れる

ここからが機械では処理できない領域です。

ガイドラインは誇大広告の具体例として「○○学会認定医」「○○協会認定施設」を挙げ、こう説明しています。

客観的かつ公正な一定の活動実績が確認される団体によるものを除き、当該医療機関関係者自身が実質上運営している団体や活動実態のない団体などによる資格認定や施設認定を受けた旨については、患者等を不当に誘引するおそれがあり、誇大広告として取り扱うべきであること。

文字列は「○○学会認定○○専門医」で同じです。違うのは団体の中身だけ。院長自身が立ち上げた学会の認定なら誇大広告、活動実績のある学会の認定なら適法、という分かれ方をします。

「一定の活動実績」には目安が示されています。

「一定の活動実績」は、5年相当の活動実績として取り扱うこと。

だからこの論点は、広告文をいくら検索しても出てきません。 出てくるのは、団体名でその学会を調べたときだけです。設立年、会員数、年報やウェブサイトでの活動の公表。見るべきものは広告の外にあります。

ここまでを1枚に整理すると、こうなります。

専門医資格の表記が虚偽広告・誇大広告・適法のどこに分かれるか
作図:Pharma-Ad Lab。医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)第3-2の4(3)イ①d・第3-2の2(3)および同Q&Aの記述に基づく。行政資料に同じ図はありません

認定医・指導医は、ウェブサイトなら別の道がある

ここまでは「広告に何が書けるか」の話でした。ただ、実務でよく聞かれるのは「認定医は書けないのか」「指導医はどうか」です。

医療広告等ガイドラインに関するQ&AのQ3-5は、この点に答えを置いています。

ただし、認定医や指導医などについて、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどについては、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。

チラシや看板では書けないが、ウェブサイトなら限定解除の要件を満たすことで書ける、という構造です。医療広告の世界では、媒体によって書けることが変わります。

ただし限定解除は「ウェブサイトだから自動的に外れる」ものではありません。問い合わせ先の明記など、要件を満たして初めて解除されます。バナー広告やリスティング広告では、この要件が構造的に成立しないため解除できません(バナーとリスティングでは、ホームページに書けることが書けません)。

なお、限定解除の規定は令和8年3月30日改正で「第5」から「第3-3」へ移りました。古い資料を参照するときは条項番号がずれます。

非常勤の医師を載せるとき

週1回だけ来る医師の専門医資格も、広告して差し支えありません。ただし条件が付きます。

非常勤である旨や勤務する日時を示すこと。これがないと、常勤だと誤認させる広告になります。

常時勤務する者以外について、常時勤務している者であるかのように誤認を与える広告については、誇大広告として取り扱うことが適当であること。

医師紹介ページに顔写真と専門医資格だけを並べ、出勤日が分からない作りは、ここに当たる可能性があります。

略歴欄には資格取得歴が入らない

最後に、見落とされやすい一点です。

広告可能な「略歴」の中身は、生年月日、出身校、学位、免許取得日、勤務した医療機関などとされていて、こう続きます。

記載する事項は、社会的な評価を受けている客観的な事実であってその正否について容易に確認できるものであり、専門医や認定医等の資格の取得等は含まれない。

専門性の資格は、略歴とは別の枠(医療従事者の専門性に関する認定を受けた旨)で広告するものです。略歴の年表に「2018年 ○○学会専門医取得」と混ぜて書く作りは、枠の外に出ます。

研修歴も同様に、広告可能な事項とされていません。

拾えるのは、団体名を調べたときだけ

この記事で挙げた論点のうち、広告文の機械チェックで拾えるのは「厚生労働省認定」の5文字だけです。

団体の実態、非常勤かどうか、略歴と資格の枠の混同。どれも文字列の検索では出てきません。人が見るしかない箇所として持っています。

この記事を書いた人

Pharma-Ad Lab|医療広告・薬機法コンサルタント まさ(薬剤師)

薬剤師/薬機法管理者/景表法 第1級/YMAA・KTAA認証/コスメ薬機法管理者

健康食品・化粧品・クリニックの広告を、薬機法・景品表示法・医療広告ガイドラインの観点で審査しています。NGを指摘して終わりにせず、訴求力を保ったままの言い換えまでセットで出すのが基本方針です。