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表現基準 2026.11.03 監修:まさ(薬剤師・薬機法管理者) EC代理店・制作

骨盤底筋の器具は、「尿漏れ」と書いた時点で医療機器になります

膣内に入れて骨盤底筋を鍛える器具は、運動のためと言っている限り医療機器ではありません。ところが同じ器具で「尿漏れの改善」「子宮脱の予防」「膣内の保湿」と書くと、その広告をした時点で医療機器に該当します。線を引いているのは、令和4年4月13日の厚生労働省通知1本です。原文を読みます。

フェムテックの器具は、医療機器なのか雑品なのかが商品ごとに揺れてきました。骨盤底筋のトレーニング器具については、その線を行政が文書で引いています。

通知が出た経緯

文書は薬生監麻発0413第5号(令和4年4月13日)、厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課長から都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部(局)長に宛てたものです。冒頭にこう書かれています。

今般、医療機器の一般的名称に「骨盤底筋訓練器具」が新設されたことに伴い、膣内に挿入して骨盤底筋の運動に用いる機械器具について、下記のとおり取扱いを示すこととしました。

つまり、医療機器としての「骨盤底筋訓練器具」という名称が新しくできたので、それと同じ形をした雑品との境目をはっきりさせた、という文書です。宛先は自治体で、「貴管内関係業者、関係団体等に周知いただくとともに、適切な指導を行い」とあります。指導の根拠として使われる前提で出ています。

医療機器に該当しない条件

記の1は、該当しない側の条件です。

膣内に挿入して骨盤底筋の運動(トレーニング)のために用いる機械器具であって、骨盤底筋の運動のみを目的とし、疾病の診断、治療若しくは予防又は身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすこと(以下「医療機器的な使用目的又は効果」という。)を目的とするとの認識を与えないものは、電動(低周波、電気刺激等のエネルギーを与えるものを含む。)、非電動に関わらず医療機器に該当しない。

ここで読み落としやすいのは2点です。

同じ項には、該当しない表現の例も書かれています。

運動による健康維持・増進を趣旨とする表現又は筋力を鍛えることにより医療機器である月経カップ等の取り出しを容易にする趣旨の表現は、医療機器的な使用目的又は効果には該当しない。

「骨盤底筋のトレーニングに」「運動で健康維持」は、この範囲です。

医療機器に該当する広告・標ぼう

記の2が、該当する側です。

次のような医療機器的な使用目的又は効果を広告・標ぼうするなど、医療機器的な使用目的又は効果を有するものは、医療機器に該当する。

続けて、指圧代用器の通知(昭和45年12月15日付け薬発第1136号)の「単に突起物やてこ等を応用し背筋等にあてて指圧する器具類」には含まれない、と念を押しています。指圧器の枠で逃げる道は閉じられています。

例示は13項目です。原文のまま並べます。

尿漏れと子宮脱は想像がつきますが、便秘・不眠・冷え性・更年期まで並んでいる点に注意が要ります。骨盤底筋の器具のLPで「巡りが整う」「ぐっすり」「冷えにも」と広げた瞬間に、この表に入ります。

末尾の注記も重要です。

上記は医療機器的な使用目的又は効果の例示であり、医療機器「骨盤底筋訓練器具」にこの使用目的又は効果があることを示すものではない。

医療機器として承認・認証を取った器具であっても、この13項目をそのまま広告に書けるわけではありません。医療機器の広告は医薬品等適正広告基準(平成29年9月29日付け薬生発0929第4号)に従う、と通知自体が書いています。

広告の側で起きること

雑品として売っている器具が記の2の表現を広告すると、その器具は医療機器に該当することになります。承認・認証を持たない以上、未承認の医療機器の広告です。Pharma-Ad Labのルールブックでは、この通知を根拠に「尿漏れ改善」「尿もれ予防」「骨盤底筋の修復」「膣内の保湿」などを、雑品の広告では使えない表現として扱っています(rid851)。

言い換えで残せるのは、記の1に書かれた範囲です。「骨盤底筋のトレーニングに」「骨盤底筋を鍛える運動をサポート」。尿漏れを正面から言いたいのであれば、広告文の工夫ではなく、医療機器「骨盤底筋訓練器具」として承認・認証を取るかどうかの判断になります。

自社の商品ページにこの13項目に近い語が残っていないかは、無料の広告チェックで確かめられます。

この記事を書いた人

Pharma-Ad Lab|医療広告・薬機法コンサルタント まさ(薬剤師)

薬剤師/薬機法管理者/景表法 第1級/YMAA・KTAA認証/コスメ薬機法管理者

健康食品・化粧品・クリニックの広告を、薬機法・景品表示法・医療広告ガイドラインの観点で審査しています。NGを指摘して終わりにせず、訴求力を保ったままの言い換えまでセットで出すのが基本方針です。