記事LPは、薬機法の地雷密度がバナーより高い形式です。体験談、ビフォーアフター、グラフ、「○日で」、成分の論文上の効能をそのまま製品の効能に接続する書き方、そして読めない打消し表示。指摘が出るのはたいてい入稿の直前で、そこから直すと構成ごと崩れます。
だからデザインの前、構成の段階で線を引きます。売り物はHTMLではなく、各節の「よくある書き方 → その商品のカテゴリ(届出の有無)で書ける書き方 → 効いている規制と理由」を並べた設計シートのほうです。
商材・カテゴリ・法的な制約をすべて固定したまま、見た目のレジスターだけを振った2本です。変えたのは見た目だけで、線は1ミリも動いていません。とくにDR(レスポンス)型は、記事LPのなかで最も違反が起きる型になります。
照合は薬機法・景表法・医療広告ガイドラインの自社ルールブック(636項目)で行っています。以下は設計シートからの抜粋です。
表の読み方=左が世の記事LPで頻出する書き方、中央がこの商品(機能性表示食品の届出なし=いわゆる健康食品)で実際に採用した文言、右がそう判断した根拠です。同じ文言でも届出の有無で可否が反転するため、中央の列は「一般的なOK例」ではなく届出なしという条件下での解になります。
| 節 | よくある書き方 | 届出なし(いわゆる健康食品)ならこう書く | 効いている規制 |
|---|---|---|---|
| FV・見出し | ぐっすり眠れる夜へ/寝つきの悪さ、あきらめていませんか? | 睡眠サプリの棚の前で、結局どれも同じに見えてくる。 | 薬機法66条1項・68条 |
| 共感・課題 | ☑夜中に何度も目が覚める ☑朝スッキリ起きられない(症状チェック) | 成分名は読むが何mg入っているかまでは見ていない(購買行動チェック) | 薬機法66条1項・68条 |
| 成分説明 | ◯◯は脳に直接働きかけます。だからリラックスした状態へ導きます | 選定理由を薬理でなく制度(届出の蓄積がある成分)で説明し、成分の一般情報は別記事へ分離 | 薬機法66条1項/46通知 |
| 肩書き | 薬剤師が推奨する睡眠サプリ/薬剤師監修だから安心 | 薬剤師が、成分と根拠と飲み合わせを開示して設計している | 薬機法66条2項 適正広告基準4-10 |
| 根拠 | (届出のない自社品に)◯◯には睡眠の質を高めることが報告されています | 他社の実在する届出を他社のものとして引用し、届出者名・製品名・届出番号と「当方のものではない」旨を同じ段落に置く | 食品表示法 景表法5条1号 |
| 声・実績 | 「飲み始めてから朝が違います」(40代・女性)/満足度98% | 体験談を置かない。置かない理由を1節にする | 景表法5条1号 医薬品等適正広告基準 |
| 打消し表示 | ページ末尾に8pxのグレー文字で「※効果には個人差があります」 | 注記をCTAの直近に、本文と同じ読める大きさで置く | 景表法5条 打消し表示の運用指針 |
「※効果には個人差があります」を添えれば効果を訴求してよい、という運用をよく見かけます。逆です。打消し表示が有効に働くのは、本文に救うべき過大な訴求がないときだけで、注記で効果訴求を救おうとした時点で構造が壊れています。このページは本文に効果訴求がないので、注記が免罪符ではなく事実の開示として機能しています。この関係が成立しているかどうかが、打消し表示の本当の判定基準になります。
記事LPで最も相談が多いのが体験談です。可否はカテゴリで変わり、健康食品の感覚のまま医薬品や医療広告に持ち込むと事故ります。ここを説明できるかどうかが、制作者としての分かれ目になります。
| カテゴリ | 体験談の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| いわゆる健康食品 機能性表示食品 | 使用感(味・飲みやすさ・続けやすさ)までなら可。効果を語らせた時点で不可 | 景表法5条1号 医薬品等適正広告基準 |
| 医薬品・医薬部外品 | 体験談そのものが原則不可 | 医薬品等適正広告基準 |
| 医療広告(クリニック) | ウェブサイトで限定解除の要件を満たしても、患者の体験談は不可 | 医療広告ガイドライン |
医薬品の記事LPは、当方では制作でなく薬事監修(レビュー)の立場で関与してきました。医薬品情報メディアで年間100件規模・複数年の実績があります。
上の表の2段目を、現物にしたものです。薬用美白美容液(医薬部外品)——承認された効能を正面から掲げられる代わりに、体験談もビフォーアフターも封じられているカテゴリ。1本目とちょうど裏返しの制約になります。
架空ブランドによる制作見本です。ブランド名・配合・承認はすべて架空の前提で、実在の商品・企業を示すものではありません。