CBN が指定薬物になって、2か月が過ぎました。
公布が3月18日、施行が6月1日。あいだの2か月半で駆け込みの在庫処分が走り、業界の対応がはっきり分かれた期間でした。対応の速い会社は4月中にラインナップを組み替え、遅れた会社はまだ棚に残っている。この号では、その後始末で実際に詰まっている箇所を3つ書きます。
1. 商品ページを下げても、検索結果には残っている
CBN 製品の販売ページを削除した会社は多い。ただ、消し忘れが出るのは商品ページではなく、その周りです。
比較記事、成分解説のコラム、ブランド紹介、それとアフィリエイターの記事。自社サイトの中でも「CBN とは」の解説ページが残っていることがある。実際に見て回ると、meta description に「CBD・CBN・水溶性CBN の開発支援を承っております」と書かれたままで、商品ページは404なのに検索結果には CBN の文字が出続けているという状態がありました。
サブスクの案内文も要注意です。「今月は CBN カートリッジ、来月は CBD グミ、再来月は CBN ハーブ」という定期便の説明が、施行後もそのまま残っている例がある。別ページで「確認書保有者限定」と告知していても、その案内文自体には限定の記載がない。読む人はその1ページしか読みません。
やることは単純で、サイト内検索と Google の site: 検索で「CBN」を全部拾い、商品ページ以外も見る。それだけです。ただ、これを誰の仕事にするかが決まっていない会社が多い。
2.「茎と種子由来だから合法」は、もう旧法の説明です
2024年12月12日の改正で、判定の軸が部位から成分に変わりました。どこから採ったかではなく、Δ9-THC が何ppm 残っているかで見る。
ところが LP や FAQ の「合法性について」の項目は、この2年で一度も書き換えられていないことが多い。製品自体は現行法に適合しているのに、説明文だけが旧法のままというねじれが起きています。これは商品に問題がないぶん、かえって放置されやすい。
限度値は形態で分かれます。
| 形態 | Δ9-THC 残留限度値 |
|---|---|
| 油脂(常温で液体のもの)・粉末 | 10 ppm |
| 水溶液 | 0.1 ppm |
| その他 | 1 ppm |
油脂と水溶液で100倍の開きがある。ここが実務でいちばん事故が起きます。水溶性CBD を謳う製品で、油脂基準の分析書をそのまま添えているケースがある。剤形が変われば適用される数字が変わるので、同じ原料でも製品によって見るべき閾値が違う。
(厚生労働省の告示。当方では2026年8月時点で内容を確認済み)
3.「THCフリー」は、分析書の LOQ 次第で何も証明していない
これがいちばん多い。
COA に「不検出(ND)」と書いてあっても、それは「その分析法で測れる範囲になかった」という意味です。定量限界(LOQ)が限度値より高く設定されていれば、限度値を超えていても ND と出ます。
なので COA を見るときは、この順に確認します。
まず LOQ と LOD の数値が書いてあるか。書いていない分析書は、それ自体が判断材料になりません。次に、その LOQ が製品の形態区分の限度値より十分に低いか。水溶液で 0.1 ppm を見るなら、LOQ はそれより一桁低くあってほしい。最後に、その分析がどのロットのものか。製品ロットと分析ロットが一致していない COA を受け取っていることが、実際にあります。
「THCフリー」「THC不検出」と書くこと自体は、事実であれば問題ありません。問題は、事実だと言える根拠を持っていない状態で書いていることです。
ついでに、よく見かける表記をひとつ
「厚生労働省の確認済み」。輸入時の事前確認は任意の手続きであって、公的なお墨付きではありません。そう表示すること自体が禁じられています。通関を通ったことと、製品が承認されたことは別の話です。
次号の予定
CBG まわりを見ます。CBN が指定薬物になったあと、代替として CBG に振った製品が一気に増えました。現時点で CBG は規制対象ではありませんが、「代替」という売り方をすると、CBN でやっていた訴求をそのまま引き継いでしまうことがある。そこが次に問題になりやすい箇所だと考えています。
このレポートは、CBD を扱う事業者向けに毎月お送りしています。第1号は無償です。
薬剤師・薬機法管理者・景品表示法1級として、ロット別COA、表示、広告、それと薬物相互作用までを一枚の監査票で見ています。手元の分析書の読み方でも、広告表現でも、判断に迷うところがあればお送りください。